生き方

家族が社会不適合者になったらどうする?社会復帰のための5つのアプローチをご紹介!

 

「最近家族が自室に引きこもりがち…」
「帰宅後、いつも顔色が悪く、調子が悪そうに見える…」
「会社(あるいは学校)に行かず、家から出ようとしない…」

ご家族の中で、上記のような"いつもと違う様子"に陥っている方はいませんか?
もしかしたら本人の中で何らかの重大な悩みを抱えており、"社会不適合者"の状態に陥っているのかもしれません。
今回の記事では、ご家族の誰かが"社会不適合者"の状態に陥った時にどうすればいいのかご説明します。

 

■そもそも"社会不適合者"ってどういう状態?

「社会不適合者」とは、どのような人を指すか定義づけされていません。
読んで字のごとく、"社会に適合できない"と自ら判断したら、あるいは他者から判断されたら「社会不適合者」と呼ぶ、一種のレッテルのようなものです。
"社会に適合できない"と判断する基準は、個人の主観によって様々ですが、一般的な代表例として以下のようなものが挙げられます。

<"社会不適合者"だと判断される主な例>
・会社(あるいは学校)でのルールが守れない
・締め切り時間やスケジュールを守れない
・コミュニケーションが苦手
・上記が原因で、上司(あるいは先生)にいつも叱られる

その結果「自分は社会不適合者だ」と判断するようになり、自己肯定感が低下し、顔色や言動に変化が現れるようになります。
こちらも個人によって様々ですが、代表的なのは以下のような状態がみられます。

<"社会不適合者"の主な行動>
・会社(学校)に対する不満や愚痴が増えた
・突然会社(学校)を休む/辞める
・自室・自宅にこもりがちになる
・顔色が悪い/体調不調を訴える(主に頭痛、不眠、胃の不調など)
・「死にたい」など自殺をほのめかす言動をとる

このように、とにかく"いつもと違う様子"を察知したら、それは"社会不適合者"というレッテルを貼られてしまったが故の心身の不調を表わすサインかもしれません。
その場合はひとまず社会から一旦距離を置いてから、十分な休養を促し、ゆっくりと社会復帰を試みることが有効です。
では、それらの具体的な方法を次の項目でご説明いたします。

 

■社会復帰のための5つのアプローチ

①まずは様子を見る
突然会社(学校)を休んだり、辞めたり、引きこもりがちになったりして、「いつになったら元気になるのだろう」と不安や焦りを感じるかもしれませんが、誰よりも不安と焦りを抱えているのは本人です。
そのため過度に介入したり尋問したりせずに、まずそっとしておいてあげましょう。
もしかしたら本人の中で問題を整理し、解決する為の手立てを考えている最中かもしれません。

ただし、しばらく"いつもと違う様子"が続く様であれば、こちらから声掛けをしてみましょう。
目安としては「2週間」経っても様子が変わらないようでしたら、声掛けのタイミングです。
何を言われても否定や口出しをせず、すべてを肯定し聞き役に徹しましょう。
本人が何も話したくないようでしたら、時期尚早とみなして一旦退き、本人が話す気分になるのを待ちましょう。

ただ、自殺をほのめかすような言動をとったら、「2週間」という目安を無視して、すぐに次のアプローチに移ってください。
また絶対にひとりにさせないように注意してください。

 

②相談に乗る/相談機関を探す
家族に対して、悩みを声に出して打ち明けることだけでも、本人の精神の安定に十分有力な方法です。
もしかしたら、話すだけですっきりして問題解決に至るかもしれません。

ですが、家族と話しただけではどうも解決できないようでしたら、専門の相談機関に頼るという方法もあります。
体調の問題であれば医療機関、労働に関する問題であれば就労支援施設や労働基準監督署(労基)、生活に関する問題であれば地域ごとに設置された相談窓口などに、一度訪問してみてはいかがでしょうか。

 

③必要に応じて、通院・通所
相談機関に頼ることで、本人の定期的な通院・通所が必要となる場合もあることでしょう。
数回で終わるものもあれば、数週間、数ヵ月、あるいはそれ以上かかる場合もあります。

また、相談機関の判断に基づいて、会社(学校)を休んだり辞めたりと、本人にとって生活の大きな変化も起こるかもしれません。
その間、家族としては、状態が悪化しないよう出来るだけ本人のサポートをしてあげる必要があります。

何より大切なのは、情緒的なサポートです。
別居しているのであれば同居を勧めたり、定期的に連絡を取り合ったりなど、本人に孤独を感じさせないようにすることが重要です。
「自分は社会不適合者だ」と感じる人の多くは「自分は社会から逸脱しているから誰も味方がいない」と思い込みがちです。
決してそんなことは無く、家族全員が本人の味方であり、心の拠り所であるという姿勢を本人にアピールしましょう。

 

④少しずつ社会復帰
"いつもと違う様子"の回復の兆しが見えてきたら、社会復帰を検討しましょう。
ただ、早速"いつも通りの生活"に戻ってもらうのは、本人にとってはとても負担のかかることです。
ですので、徐々に"いつも通りの生活"に戻せるようにするのがベストです。

例えば「休職状態から会社に復帰する」を例に挙げた場合、週5の勤務日数を週1~4の間で減らしたり、フルタイム勤務を時短勤務に変更したりと、本人の意思を尊重しつつ、会社に相談しましょう。
ただ、会社側にも都合があるので、本人の希望が必ずしもすべて通るとは言い切れませんが、一度交渉してみることをお勧めします。

もちろん、本人から直々に会社に相談することが筋ですが、本人の希望や状態によっては家族が代弁することも検討しましょう。
学校であれば、本人ではなく家族から本人の状態と要求を説明した方が良いです。

 

⑤社会復帰後のフォローアップ
少しずつ社会復帰しつつある、あるいは完全に社会復帰したらすべて解決、という訳ではありません。
復帰後も、当初と同じ悩みを抱えたり、"いつもと違う様子"が再発する可能性があります。
こまめに連絡を取ったり、引き続き様子を目視したりすることで、順調に復帰できたかを長期的に見守ってあげましょう。

 

■終わりに

以上が、"社会不適合者"の実態と、社会復帰のための5つのアプローチでした。
昨今では、いじめ問題やセクハラ・パワハラ問題、賃金の低さや残業の多さ、部活動での過剰な指導や体罰問題など様々な要因で"生きづらい"世の中になっています。

その中で心身に不調をきたし"社会不適合者"状態になることは、今や珍しいことでは無くなってきました。
ですので、もしご家族で"社会不適合者"状態に陥った方が出ても、決して叱ったり情けないと思ったりせず、まずは「こんな"生きづらい"世の中で、よく今日までがんばったね」と労わってあげてください。

現代に足りないのは、"生きづらい"世の中でも"フツウ"に生きようとする人に対する敬意です。
どうか、ご家族同士でも、お互いに敬意を払うようにしてみてはいかがでしょうか。

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