何らかの事情で働けなかったり十分な収入が得られなかったりする場合、救済措置として「生活保護」という国の制度が存在します。
この制度は、経済的に生活が困窮し、地域ごとに決められている「必要最低限の収入」が得られていない人の為に、国が無償で生活費を援助してくれるといったものです。
生活保護は市役所や保健福祉センターで申請することができますが、申請すれば誰でも受給できるといったものではなく、規定の条件を満たした人のみが受け取れるような仕組みになっています。
今回の記事では、その生活保護の受給条件についてご説明します。
①生活が困窮していること
生活保護は、最低限度の生活すらままならない人の為に設けられた制度です。
その為、“あらゆる方法“を使用しても経済的に困窮している状況にあることが、受給の為の第一条件とされています。
生活に利用されていない土地や家屋、車や宝石類などの資産を持っていないことも条件とされています。
もし持っている場合はそれを売却し、生活費に充てるように指示されます。
また、年金を始めとした他の制度で給付を受け取ることが出来る場合は、そちらの制度を優先して活用しなければなりません。
さらに、ご自身の経済状況だけが困窮しているという理由のみでは受給の対象とはなりません。
ご自身以外の世帯員全員、あるいは親族の援助や協力を得ても生活費を賄うことが出来ない人が対象となります。
このように、自分の身の回りの資産・物品や、利用している制度、世帯員や親族の協力といった“あらゆる方法“を用いても、金銭的に生活がままならないことが、生活保護受給の条件のひとつとされています。
②労働能力が無いこと
受給対象となる人は、本人には働きたい意思があるのにも関わらず、何らかの事情によりそれが叶わない人です。
主な事情として、精神疾患を含む病気やケガにより働けないことが挙げられます。
その場合は傷病手当金が受給できる可能性があり、その手当を受けても必要最低限の収入を満たさない人のみ、足りない分だけ金額を生活保護で補填されるケースが多いようです。
言い換えると、心身ともに健康な状態で働くことができるのに、個人的な都合であえて働かない選択をしていたり、低収入の仕事に就いていたりする人は生活保護受給の対象外とされます。
むしろ、生活保護の申請窓口である役所から仕事に就くように指導されてしまいます。
③ケースワーカーの生活指導を受けること
ここまでご説明した生活保護の条件だけでもかなりハードルの高いものですが、ここまでの条件を全てクリアし、無事生活保護を受けられるようになっても、ただただお金だけを貰える生活が一生涯続くわけではありません。
生活保護を受けるようになったら、ケースワーカーと呼ばれる支援員が定期的に家庭訪問に訪れます。
その目的は、生活保護を申請したときの状況から生活に変化が無いかを確認することです。
例えば、申請時に罹っていた病気やケガが回復していないか、就職活動の進捗はどのようなものかなどを問われます。
また、訪問時の受給者の状況に合わせた就労や社会復帰の為の指導や支援をすることも家庭訪問の目的のひとつです。
そういった取り組みをしているケースワーカーの指導や支援に対して、非協力的な言動や生活態度を取ったり、ケースワーカー側が「生活保護の必要はない」と判断したりした場合、生活保護の給付をストップされることがあります。
その為、就労の妨げとなっていた病気・ケガの回復や、就職が決まったなど、生活環境に変化が生じた場合は、正直にケースワーカーに報告する必要があります。
また、いずれは生活保護を受けず自立した生活を送れるように就職活動や社会復帰に向けた努力をし、ケースワーカーにアピールしなければなりません。
おわりに
以上が生活保護の受給条件でした。
本当に生活に困っている人の為に設けられた制度ですから、受給条件のハードルが高く、仮に条件をクリアし受給が叶ったとしても、その後の努力を怠らないようにしなければなりません。
ですが、仮に生活保護の受給条件を満たせなかった場合でも、お住まいの地域や現在の生活状況によっては、生活保護以外の給付金を得られる可能性があるかもしれません。
ご自身の経済状況のことで困ったことがあれば、まずは市役所や保健福祉センターで相談し、ご自身の状況にあった支援がないか相談してみてはいかがでしょうか。