「自分は社会不適合者だ…」と考えている方の中には、社会に馴染み"フツウ"の人のような生活を送ることを望んでいる方もいるのではないのでしょうか。
"社会不適合者"は病気や障害の名前ではないので、専門の医療機関や治療・薬があるわけではありません。
環境を変えたり、自身の認知を変えたり、様々なアプローチの仕方により"社会不適合者"の状態を克服できるかもしれません。
今回は、"フツウ"の人のような生活を送りたい社会不適合者の皆さんへ、"社会不適合者"の克服の仕方をいくつかご紹介しようと思います。
まず「自分の現状」を知る
社会不適合者だと感じてしまう主な原因は、社会(あるいは世間、勤めている会社、学校など)に対して、何らかの不安や恐怖であったり、不満がある場合がほとんどかと思います。
そういった負の感情が積もり「自分は社会に適合できない社会不適合者だ」と、自分で結論付けてしまいます。
社会不適合者を克服するためには、まず自分の状況を知る必要があります。
なぜならあなたの状況によって対処の違いが異なるからです。
主な状態として以下が挙げられます。
本記事では、以下の5つの状態について、それぞれの克服方法をご説明します。
<”社会不適合者”の主な状況例>
①会社・学校など、特定のコミュニティが怖い
②外に出るのが怖い(人の視線が怖い)
③一般的な生活リズムを送れない
④人と関わるのが怖い
⑤理由も分からず、生きていることが辛い、体がだるい
状況別の克服方法
①会社・学校など、特定のコミュニティが怖い
勤めている会社や通っている学校、ママ友との付き合いや家族とのかかわりなど、私たちは多様なコミュニティに属して生きています。
社会不適合者になった原因として、そのコミュニティのうちのひとつ、あるいはすべてに対して負の感情を覚え、コミュニティに属することに恐怖感を覚えることがあります。
会社で例えるなら、「多すぎるノルマ、毎晩の残業、職場での人間関係などに嫌気がさし会社に行きたくなくなる」
あるいは「休職や無断欠勤をする」などです。
理想としては会社ないしコミュニティが、社会不適合者状態になってしまった人に対して寛容になり、
負の感情の原因を解消するようサポートしてもらえると安心です。
(例えば、会社であれば、上司に相談し、ノルマや残業時間を減らしてもらうなど)
しかし、他人や周囲の環境はそう簡単には変えられないので、自分から変わる方が確実です。
ノルマを達成し残業が発生しないように努力をすることも挙げられますが、一番手っ取り早いのは、コミュニティを変えることです。
具体的に言い換えたら、会社内の部署異動、転職、転校などです。
今属しているコミュニティだけが「社会」のすべてではないので、自分に適した「社会」を探すべく「このコミュニティは気に入らない、居心地が悪い」と思ったら、別の「社会」に移ってしまってもいいのです。
②外に出るのが怖い(人の視線が怖い)
他人からの視線が気になって、どうしても外に出られないという方がいます。
実は、2018年に株式会社マンダムが行った調査で、若い人ほど他人からの視線を気にしてしまう傾向にあることが分かっています。
ですので、若い方で他人の視線を気にしてしまうのは、ある意味普通のことだと思ってもらえたらよいと思います。
ちなみに、先の調査で判明したこととして、視線を気にするのは「外見に自信が無いから」と答える方が多かったそうです。
元々自分の外見に自信が無いという人もいれば、簡単に顔をキレイに加工できるスマホに対して現実ではそうはいかないから見られたくないと思う方もいるようです。
そこで、いわゆる「自分磨き」をしてみるのはいかがでしょうか。
最近では、化粧、スキンケア、ファッションなどの情報がネット上に豊富に溢れてますし、その購入もネットで完結できるので、自宅から出ずに自分磨きをすることは不可能ではありません。
YouTubeを見て好きなyoutuberの真似をするでもいいでしょう。
外見が変われば、不思議なことに自分に自信がついてきます。
まずは形から入ってみることで、外に出る勇気を身につけてみるのはいかがでしょうか。
③一般的な生活リズムを送れない
ここでの「一般的な生活リズム」とは、おおまかに、朝起きて身支度をして、会社や学校あるいは家事をして、夜になったら明日に備えて眠ること、とします。
しかし、「朝起きられない」「その結果遅刻する」「夜は眠れない」…といったように、
一般的な生活リズムが送れず「社会不適合者」というレッテルを貼られてしまう方もいることでしょう。
こういった状態に陥ってしまう原因として「睡眠」が大きく関わっています。
ですので、まずは睡眠外来に相談し、現状に合った適切な治療を受けるのが先決です。
ただ原因なのは「睡眠」に限らず、元々の生活リズムが「夜型」である場合もあります。
動物で言い換えたら「夜行性」であることとほぼ同義です。
睡眠専門医の三島和夫さんの調査によると「夜型」の成人の約30%だそうで、あまり珍しいタイプではないことが分かります。
「夜型」は、いわゆる体内時計として遺伝子レベルで身体に組み込まれているので、個人の努力で何とか「朝方」に変えるのは困難です。
しかし、仕事ではあれば深夜帯にできる職を探したり、学校であれば映像授業を受けられる通信制の学校に通うなど、自分の生活リズムに合った生活を送ることは不可能ではありません。
一般的な生活リズムに合わせるのではなく、自分の生活リズムに合わせてもらう形で生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
④人と関わるのが怖い
何らかのトラウマにより「他人から悪い印象で見られているのではないか」「他人を不快な気持ちにさせてないだろうか」と不安になり、
人と関わるのが億劫になることも「社会不適合者」というレッテルを貼られてしまう理由のひとつです。
対処としては3つあります。
まずは「コミュニケーション能力向上のためのセミナーを受けること」です。
ハローワークを始めとした就労支援施設で実施されていることが主です。
2つめは「人となるべく関わらない生活をすること」です。
そもそも常に人と関わらなければいけないという決まりは有りません。
ネットが十分に社会に普及した現代ですから、家にいながら仕事をしたり、授業を受けたり、買い物などの生活を送ることは可能です。
最後に「対人恐怖症を疑うこと」があります。
対人恐怖症とは精神疾患のひとつで、人の視線を感じると強い不安感を感じたり、目眩や発汗、動機など、身体的な異変が発生する状態を言います。
この場合は、個人の努力でどうにかしようとするのではなく、医療機関に頼るのが最適です。
対人恐怖症を完全に治すことは困難ですが、不安を軽減する為の治療や服薬で症状を抑えることが可能です。
⑤理由もなく、生きていることが辛い、体がだるい
原因は分からないけど、とにかく精神的につらい、体力的にもしんどい、という場合は、精神疾患の可能性があります。
他にも「食欲が無い」「今まで出来ていたことが出来なくなる(やり方を忘れる)」「いつも以上に眠い/眠れない」「希死念慮がある」といったような、”いつもと違う”状態が2週間以上続くようでしたら、さらに可能性は高くなります。
鬱病を始めとした精神疾患は、一度罹ると完治までに数ヵ月から数年ほど時間がかかり、かなり根気のいる治療を迫られます。
そうならない為にも、自分の心身に異変を感じたら、すぐに最寄りの精神科・心療内科で診てもらってください。
おわりに
以上が、"社会不適合者"の克服の仕方でした。
「いつか"フツウ"の人のような生活を送りたい…」と思い「何とかしなきゃ!」と考えている皆さんは、その時点ですでに立派です。
現状を変えないといけないという意識を自力で獲得したのですから。自分のペースで、焦らず、出来ることから始めて観ましょう。
ただやってみて厳しかったなら、無理に「"フツウ"の人」を目指す必要もありません。
そもそも、人は人の数だけ個性があり、ロボットのように皆同じ生活リズムや価値観を持っているわけではないのですから、「"フツウ"の人」なんて存在しないかもしれません。
そういった意味で虚構の存在である「"フツウ"の人」を目指すより、ご自身が最もしっくりくる生活の仕方を見つけ、
自分が最も心地よいと思える場所で生きていくことを目指すことが賢明だと思います。
この記事が、皆さんが皆さんらしく生きていくための背中を押すきっかけになりますと幸いです。